はじめに ~どんぐる教室を開始した経緯~

 

 

長男が生まれて正直この子をどうやって育てようと真剣に悩みました。早期幼児教育の書籍を読んだり、実際に試したりもしましたが、どうもしっくり来ませんでした。当時は、ただ漠然と社会で立派にやっていける人になって欲しい、日本語をちゃんと話して欲しいという思いがありました。

 

そんなある日偶然どんぐり倶楽部のホームページに出会い、直感でこれはすごいかもと思いました。長男が年長さんになったら、絶対学力を養成できる絵で解く「どんぐり問題」をさせようと心に決めました。

 

少しずつどんぐり理論を学んで来た私でしたが、当初は寺子屋を始めるなんて少しも思っていませんでした。いろいろないきさつがあり、運良く長男と同じ境遇にある子供たちと一緒に学習できる機会が与えられたことに感謝しているところです。

 

そういうわけで、どんぐる教室は日本語とどんぐり倶楽部の良質の算数文章問題(どんぐり問題)の二本立てになっています。

 

また日本語が上達してほしいという目的だけを考えるならば話は比較的簡単かもしれません。びしばしやればいい訳ですからね。でも日本語ばかり勉強しているわけにはいきません。子どもは嫌がるのに無理やりプリント学習をさせるなどもしたくありませんし、第一本末転倒です。とにかく子ども達の時間は貴重で、遊び、こちらの勉強、日本語と全体的なバランス調整が必要です。また何よりも子ども達の精神衛生や正常な心の発達、バランス感覚を崩したくありません。ですから、限られた時間の中で、いかに効率よく、効果的に、子どもに負担なく結果のでる学習をするかを考えることが重要になってくると思います。

 

次に、私がどんぐる教室でどんぐり問題にこだわる理由は、どんぐり問題に取り組むと算数だけでなく、日本語、他の言語においても読解力が格段にUPするということが分かっているからです。※つまりもともと算数も国語も同じ力を使うということなのですが・・・。

 

この理由を説明するには、『分かる』『理解する』ということがどういうことかを先にお話する必要があります。詳しくは「どんぐる教室」サブページの「リンコとリンゴ 言葉のトリガー理論」をご覧ください。

 

『分かる』『理解する』とは、目で視える、イメージ出来るということです。人間は言葉だけで理解したり、考えたりしているのではありません。脳内の情報処理は超高速の視覚イメージによって行なわれています。ですから言葉→イメージ再現→言葉という練習を常々意識して行なっていると、深い理解が得られるようになります。特にイメージ力のまだ弱い低学年までは重要です。

 

『分かる』『理解する』とはイメージ出来ることだと書くと、分かりきったことのように思えますが、ここをキチンと理解している人は少ないと思います。ここを良く分かっていない教育者がごまんといることで、負のループに陥っていることが多々あると思います。

 

また、どんぐり問題は算数の形式をとっていますので、国語の読解よりも緻密な理解を必要とします。つまり、正確な理解が求められるというわけです。ここも重要なポイントです。緻密なことに慣れているとおおざっぱには出来ますが(算数的読解→国語的読解○)、おおざっぱに慣れていると後々緻密なことに絶えられなくなります(国語的読解→算数的読解×)。一般に言う文型頭とか理数系頭とか言われるところのものと解釈してよいかと思います。つまり算数的な読解に慣れておくと、国語読解は余裕で出来ると言うことですね。

 

『考える』『思考する』というのは『理解』の先にあるもので、イメージ操作(移動、変形、比較、連想、複写)のことを言います。

 

それから、どんぐり問題の何よりもすばらしいところは、子どもの感情を潰すことなく、楽しみながら、納得しながら最高の思(視)考力を養うことが出来るということにあります。これは何もテストでいい点が取れるとか有名な大学に入るとかそういった低次元なものを目的としていません。どんぐり問題をする中で、自分の人生を自分の力でいかに楽しいものにするかということを学んでいくことが出来ます。もはや哲学です。人生とは、生きるとは何ぞやということを身をもって体験しているのです。

 

ところで、ルクセンブルクは世界でも珍しい多言語国家です。バイリンガルの子供は珍しいですね。4~5ヶ国語話す子供は普通にいます。そんな中で思うのですが、いろいろな言語を話せるのは、話せないより便利であるけれども、それまで。子ども達には、便利な翻訳機ではなく、自分の力で人生を楽しくでき、洞察力があり、良く考え、自分の持ち味を上手に出せる人、人間的な判断が出来る人になって欲しいと思っています。

 

以上のような母の思いと、日本人である私のエゴでどんぐる教室を運営している次第です。

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